塗装の目的・時期
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塗装の目的・時期
例えばシリコン塗料というだけでも、溶剤系・水性系とあり、1液タイプ・2液タイプとあるわけで、一つの塗料メーカーに、多い会社では10種類くらいのシリコン塗料があったりします。
しかも塗料メーカーは、何十社以上もあるわけなので、塗装屋であっても全て把握できるものではありません。
しかも、10年経たないうちに、同じ塗料でもバージョンアップしたり、上記の分類の中間どころの塗料なども出てきたりするので、近年は塗料の数もですが、分類も複雑化してきています。
塗料は樹脂により、耐久力に差があるのが基本となっています。現在の塗料のタイプの分かり易い分け方を下記に表しています。
塗料の主原料は、アクリルが主となっています。
有機物を主とした材料。有機物は、炭素と水素の結合からなります。アクリルは、密着に優れ、非常に使い勝手の良いのですが、安価で耐久力は低いです。
一般的にはこういったイメージですが、アクリルでもシリコン並みの価格帯の物もあり、従来の物より持ちが良い物もあります。
基本的に、紫外線の影響を直接受ける外部には、最近では使われなくなってきましたが、アクリルでも、本当にしっかり十分な塗布量で施工すれば、そんなに悪い結果にはならないと言えます。
アクリル樹脂+イソシアネートで、ウレタン塗料が完成します。有機物を主とした材料。
非常に密着に優れ、艶も良い樹脂です。耐久力と値段からすれば、すごくバランスが良いと言えます。
一般住宅向きです。ウレタン最高峰よりも、低ランクシリコンの方が安いので、ウレタンを使用するケースは少なくなってきました。
ウレタン樹脂+シリコン樹脂で、シリコン塗料が完成します。正式名称は、アクリル変性シリコン塗料と呼びます。なので、シリコンの配合はわずかな物との事です。シリコン自体は無機系素材ではあります。
4つの樹脂の中で、最も塗料の種類も多く、バランスや性能面から現在の主流の商品です。
基本的に汚れが付きにくい塗膜で、隠蔽力は弱い印象が強いです。溶剤シリコンは非常に光沢があります。同じシリコンでも物により値段差がございます。
ウレタン樹脂+フッ素樹脂で、フッ素塗料が完成します。フッ素自体も無機系素材であります。
フッ素は樹脂の中で最も高価で、耐久力は高い樹脂です。
フッ素は結合が難しいらしく、それもあってなのか、同じフッ素塗料でも価格差はかなり幅広いです。一缶当たりの値段が上級シリコン塗料よりも高価な物からなので、大きな建物であればある程、全体的な工事金額が大きく上がると言えます。
ウレタン樹脂+シロキサン結合を可能とした材料を、無機塗料と呼ぶようです。無機塗料とは、別名シロキサン結合塗料とも言えます。
無機物とはいつまでも変わらぬ形で存在し続ける、石とかガラスのような物を指します。塗料は人工的な液体(有機物)である以上、100%無機の塗料はあり得ませんが、有機物である塗料に無機成分を配合させた材料だから、略して無機塗料と言われています。
因みに、昔からあるスキン仕上げ(大理石などの無機物を混ぜ合わせた仕上げ)は、無機塗料とは別物の話となります。
無機系塗料もラインナップが増えてきて、定義が複雑化してきています。無機系シリコンや無機系フッ素もあり、無機塗料とはシロキサン結合がより強固な物と聞いていますが、あくまでも樹脂の名前ではありません。
現在は、シリコン塗料が主流と言われていますが、アクリルやウレタンでも、必ずしも持ちが悪いというわけではございません。
むしろ、アクリルやウレタンの方が、シリコンよりも隠蔽性が高いので、色の留まりは良いと言えます。上の価格帯だけ見たら、ウレタンよりシリコンの方が上と思われますが、明らかにウレタン以下のシリコンもあれば、フッ素並みのシリコンもあるので、一概にシリコン塗料が持つとか、持たないとは言い切れない部分があります。
近年は、フッ素や無機塗料を最初から選択肢にされるお客様もいますが、それらもカタログの実験データ通りの年数分は、本当に持つと思ったら大間違いです。あくまでも年数相当分の紫外線を人工的に当てたものとする実験データであって、実際の塗膜は、雨水も掛かれば、傷も付き、塩害もあり、紫外線量も年々過酷になってきていますので、データよりも確実に下回ると言えます。
塗装は高耐久塗料で一度塗り替えれば、20年もそれ以上も持つと期待するのは過度であり、15年くらいで塗装をお考えになるくらいがお勧めです。それに塗装面以外の部位の劣化も起こってきます。当店も最近は無機塗料やフッ素塗料の提案も致しますが、必ずしも必要とも言い切れず、シリコンでコンスタントに塗装を考えられるのでも十分と考えています。
余談ですが、よく飛び込み業者が、「これを塗っておけば、この先30年間塗装しないで済みます」という売り込みをしてくるというのをよく耳にしますが、まず、そんな訳無いですし、まじめに塗装業を営んできた人間なら、そんな売り込みはしないですし、全く聞いた事も無いメーカーのカタログは信用以前の問題だと考えています。
因みに、カタログに耐用年数30年というカタログの塗料は、最近ありはしますが、普通の塗装屋はそれでも話半分くらいとしか考えないものです。何より、現場でトップコートをしっかり2回塗布した所で0.1ミリにも満たないような塗膜が、一般住宅のような揺れが起こりまくる建物に塗布して、「30年間持ちます」と言い切る神経の方がどうかしています。なので、そういうセールスが来た時は、お客様はまず近場の塗装屋でもいいので、相談してみるべきだと思います。
塗料の事は正直な話、各塗料メーカー次第で言い分や考え方が様々ですので、カタログで耐久年数や実験データをはっきり記載されているから良いとか悪いとかいうような話ではなく、もっと複雑だと思います。キツイ言い方になりますが、塗装店の分際で、材料の、例えばシリコンの含有量のデータまで調べ、それが多い塗料が良いとか悪いとかを言い切る塗装屋も、この業界にはいたりするのですが、別の塗料メーカーでは、シリコンの配合量が全てではなく、樹脂の配列が良いから他社のシリコン塗料よりも、うちの材料は長持ちすると自信を持っているという塗料メーカーもあるので、あまり一方的な意見を塗料メーカーではない、塗装屋があれこれ言うのも変な話だと思います。
塗装屋がはっきり言える事は、実際に使用し、それが10年くらい経過した時、何件か塗った現場を見て、そこでどう感じるか?という事でしか、はっきりした事はお客様に語れないものだと思うわけです。
当店では、平均的に3グレードくらいのラインナップを、見積時には提案していますが、その中にも使用経験の長いお勧めの塗料もあれば、このグレードの物は使用感から「こっちの方が良い気がする」と感じたら、新しい材料に切り替えたり・・・・という物もあります。
というのは材料の種類も年々、塗料メーカーが増やしているのもありますし、同じ材料でもバージョンアップしたり、何も報告は無いけど性能が下がってない?と感じる物もあったり、または流行の材料という物も出てきたりするので、10年前から使用している塗料は正直な所、本当にわずかというのが現実であります。
ですが、色んなシリコン塗料をこの10年使ってきて思う事ですが、基本的に現在は、そんな高価な材料でなくても、持ちの良い材料は結構ございますので、フッ素や無機塗料などの超高耐久な物を意識する必要性も無くなってきていると感じる部分はあります。
要は、それを使ってどう調理するかという事が塗装屋の仕事ですので、塗料の事ばかり宣伝する塗装屋は、視点がちょっとズレているのでは?と思うのが本音であります。
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