外壁塗装・屋根塗装の豆知識
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外壁塗装・屋根塗装の豆知識
サイディングに対して、塗装を行い、その塗膜が後にプクプクに膨れ上がっている状態の現場を、たまに見かける事があります。
これは、サイディングに対し、弾性系の何らかの塗装を行った場合や、下塗り材との密着の相性が良くない塗り替えをされた場合などで、起こりうる条件の物でして、そういった状態から、塗り替えのご相談を頂いた例が2パターンくらいございますので、ご紹介致します。
塗膜が水膨れ状態で、ポツポツに膨れ上がった状態でした。写真の面以外にも、膨れている所が多々ある。そんな状態でした。
こちらの建物は、前回塗装された業者が、単層弾性塗料(一つの塗料で塗りも厚塗りもできる弾力のある粘っこい塗料)を使用して塗装されたようで、それが膨れた後、さらにそれを消すために、単層弾性塗材で厚付け工法をしたせいか、より膨れ上がってこうなっていた現場でした。
この状態をどうにかしようと考え、見積前に、試しに剥離剤を使って塗膜を除去しようと試したのですが、下が弾性塗膜なので、剥離した物が粘り気を増すだけで、全く効果が無く、一時はご依頼をお断りしました。
ですが、お施主様は、「どうにでも膨れるのが収まればいいから、何とかできない?」とご相談され、請け負わせて頂きました。
当店が施工して4年後、全く膨れていません。
対策としては、旧塗膜の膨れを落とすには、サンダーで削るしかなく、削れば元のサイディング壁もガタガタに削れてしまいます。
そして、完全に剥がしきれない旧塗膜も残存しますので、その上に、超強力なシーラーで固め、その後、全体をセメント処理してガタガタだった壁面を平滑に近づけます。次に、強めのシーラーを2回塗って、微弾性フィラーをマスチックローラー工法、仕上げ材は、塗料メーカーが何故か水性ではなく、弱溶剤の材料にして下さいと言うので、弱溶剤2液シリコン2回塗りでこのような状態にまで復活できました。
施工後3年目の時に、お客様にお伺いした際にも、おかげで安心できたと、ご満足頂きました。
膨れが収まったという意味では成功例ですが、元からあるサイディングのデザインを残すことは不可です。ですが、このように何とか食い止める方法は無くは無いです。
基本的に、サイディングに弾性系の塗料はできる限り避けた方が良いと言うのは常識で、薄膜のトップコート(仕上げ材)なら弾性系でも問題無いので、当店でもそういう材料での施工例はありますが、この膨れの原因になったであろう、単層弾性塗材というのは、サイディングではもちろん、できれば、使用する事自体を避けた方が、安心だと思います。今は流行らない塗料でもあります。
この現場での膨れのパターンは、標準的な水性塗料を塗布しているのに、膨れが見られる現場でした。
壁面も所々膨れていますが、シーリングの上が特に膨れていました。熱膨れのように見えます。
膨れを通り越して、剥がれている部分。
この面で言えば、遠目からではこの程度膨れがあるくらいでした。
高圧洗浄で脆弱な物は剥がしてしまおうと、洗浄すると密着していない部分が出現してきました。
凍害爆裂を起こしている部分が露出してきました。
洗浄圧で、剝がそうと思えば、どこまでも剥がれてしまいそうですが、同時にサイディング壁も傷むので限界はあります。
このケースの膨れの原因は、当店が最初に考えていたのは、下塗り材が溶剤系で、仕上げ材が水性でして、溶剤系下塗り材が完全に乾ききっていないうちに、成分の違う水性の仕上げ材でパックし、下塗りの溶剤が揮発の際に、なじまない仕上げ材の水性塗膜を押し上げて起こったのかなと考えていました。
しかも、元のサイディングが、赤い色で蓄熱しやすいのもありますし、シーリング部分に膨れが多いのは、シーリング部分こそ、材料が溜まり易い。
そして、施工時は少し季節の肌寒い11月くらいで、膨れだしたのは夏場というような事もお客様からお聴きしたので、それが原因だと考えていましたが、実際に施工していくと別の原因かな~というのもあり、明確な事は当時の業者しか分からないのですが、シーリング部辺りが集中的に膨れているのは、何かこの辺りに妙な材料を塗ったのが、原因じゃないのかとも考えたりして、はっきりとは分かりませんでした。
洗浄後、サンドぺーパーで擦ったりなど、色々やってみて、できる限り剥がし取りました。
普通にサイディングに塗装するのと同じで、サイディング用フィラーを下塗りしました。
仕上げは、水性ラジカル制御シリコン塗料(プレミアムシリコン)の2回塗り。
塗装完了です。
サイディング用フィラーの肉持ちもあり、剥がれた部分とそうでない部分の差は、そこまで違和感は無い感じになりました。
この現場の見積時に、お施主様から聞いた話では、他社にも見積してもらったようで、その業者は、スキン吹付を行うという提案だったみたいで、要はそれは、スキン吹きなら通気性も良いし、粗も隠せて美観のごまかしも効くので、そういう仕様も全く分からないわけではありませんが、どちらにせよ、再塗装して剥がれるか?剥がれないか?は処理の問題だと思うし、サイディングにスキン塗装のような石材調はお勧めではないので、上記のように剥がせるだけ剥がして、標準的な塗りの仕様で結果良かったのではないかなと思います。
※この現場を施行し、5年半が過ぎますが(2022年3月時点)、現在も一切膨れていないので、正解だったと思います。
サイディング外壁が塗装後に膨れる事の主な原因は、正直、塗料メーカーを連れてきて、見させても分からない事が多々あり、明確な事は言えませんが、下塗り材の選定によるものや、様々な条件が絡み熱膨れが起こる事が、要因であると考えています。
また、膨れ以前に、最近では光触媒系、又は、無機系のサイディングもあり、そういうサイディングでは専用シーラーでないと剥がれる可能性もあるようで、それらの壁面の全ての把握は難しく、よって、パッチテストと言って、怪しいサイディングに関しては現場で、検査してみるのが一番だと思います。
中には、塗装自体が不可な外壁もあるようですので、塗装屋はそういう事も踏まえて見積していく必要性が増えてくると思います。
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