塗装の目的・時期

外壁の塗装仕上げについて

ここでは、モルタルやコンクリート、ALCに主に行われている塗装仕上げの紹介と、サイディングの塗り替えや、仕上げの紹介になります。
基本的に、お住まいの外壁がサイディング外壁や板金(ガルバリウム)等を張ったタイプで無い限りは、下のような何らかの仕上げをされているものであります。

骨材系の塗装仕上げについて

骨材系の塗装仕上げには、リシン・スキン・スタッコという仕上げがありますので、ご紹介していきます。
骨材系というのは、簡単に言いますと、液体の塗料を塗るだけではなく、石や軽量骨材などが混ぜ合わさった塗材を吹き付ける仕上げになります。

リシン吹き仕上げ

リシン吹き仕上げ

新築時に最も多い仕上げの一つです。
アクリル塗料と骨材を一緒に、壁面に吹き付ける事で可能となる薄付けの仕上げです。写真に見えるような骨材には、小さな石のタイプもあれば、軽量骨材など様々あります。アクリル塗料自体が弾性の物を、弾性リシンと呼んだりします。

また、玉状で吹き付けるリシン玉吹きもございます。

スキン(セラミック)吹き仕上げ

スキン(セラミック)吹き仕上げ

スキンは、大理石などの細かな石の集合体の仕上げです。
リシン以上に塗料に石が多く、吹き付けると硬い壁面に仕上がります。細かな石が密集した壁なので、通気が良い塗装とも言われています。リシンより少し高価な塗装仕上げですが、苔などが付着し易く、汚れやすい欠点もあります。

スキンは吹付塗装が中心の施工ですが、一部手塗りバージョンの材料もありますが、仕上がりは吹付けで行う方が圧倒的にきれいに仕上がります。

スタッコ吹き仕上げ(押さえバージョン)

スタッコ吹き仕上げ(押さえバージョン)

石灰に大理石・砂等を混ぜ合わせた物をスタッコと呼びます。
この塗装仕上げは、簡単に言うと、リシン塗装の厚付けバージョンのような仕上げです。リシン同様に昔からある塗装仕上げで、アクリル塗料の仕上げです。弾性タイプもあります。

また、スタッコの押さえ仕上げの上にシリコン塗料を塗るエナメル仕上げも最近はハウスメーカーで見かけます。耐久性は、10年くらいの仕上げですが、立地により20年くらい経過しても劣化したように感じない場合もあります。

壁がかなりガタガタしている仕上げなので、次の塗り替え時に元のガタガタした塗膜が残り、別の仕上げを行っても、スタッコの凸凹の方が勝ってしまうので、きれいになりにくいというデメリットもあります。
スタッコは、新築時に行う事はあっても、塗り替えで行う事はほぼ無い仕上げになります。

塗料で覆うタイプの塗装仕上げ(複層型厚付け塗装)

骨材系とは対照的な仕上げで、壁がツルツルした質感の仕上げになります。
要は、最終的な仕上げ塗料(トップコート )にアクリル系・ウレタン系・シリコン系・フッ素系などのいずれかを塗布するのですが、それにより耐久力に差が出る塗装仕上げです。
下地を模様付けというのは、タイルベースやフィラーといった塗材を使用し、模様付けを行う事で、滑らかな素地感を作り、塗料がより乗り易い下地を作る為の作業になります。

こういう仕上げは、壁面の撥水機能や汚れの付きにくさでは、骨材系の仕上げよりも明らかに優れますが、壁全体が塗料(トップコート)剥き出しの仕上げなので、色褪せたり、艶が無くなると、骨材系の仕上げよりは、劣化した印象を受け易い仕上げではあります。
塗料で覆う仕上げの主な3パターンをご紹介します。

タイル(玉)吹き仕上げ(ボンタイル)

タイル(玉)吹き仕上げ(ボンタイル)

吹付け工法による塗装仕上げで、昔からある施工方法です。

玉状の模様は、タイルベースという下塗り材(下地調整材)を機械で玉を飛ばすように吹いている事から、このような模様が出来上がります。
よって、タイル吹きという呼び方以外には、玉吹きとか、昔の言い方だとボンタイルという人もいます。
この仕上げは、硬質という硬いタイプの物と、触ったら柔らかい弾性タイプの物があります。

玉吹きで下地を作り、最後は仕上げ材(トップコート)を塗る事で、左のような壁面が出来上がります。
また、左より玉を詰めたり、小粒の玉にしたり、大玉にしたりと自由にでき、機械吹きですので、手塗りで行うマスチックローラー工法よりも、厚膜の下地を作る事が可能です。

タイル吹き押さえ(ヘッドカット)仕上げ

タイル吹き押さえ(ヘッドカット)仕上げ

上記のタイル吹き仕上げに1工程手間を入れた仕上がりです。

下地調整材であるタイルベースを玉吹きして、それが半乾き状態のうちに、プラスチックローラーで模様を潰していくと、左のような玉が潰れたような壁面が出来上がります。その他はタイル吹き同様に、液体状の仕上げ材を塗っていくと、左のように仕上がります。

骨材系の材料でも、左のように押さえ仕上げを行う事も可能です。

マスチックローラー仕上げ(手塗り厚付け)

マスチックローラー仕上げ(手塗り厚付け)

ローラーによる塗装仕上げになります。ヘチマのような形状の気泡ローラー(マスチックローラー)に、下地調整材(フィラー)を粘性の高い状態で含ませ、ローラーを転がしていくと、左のような凹凸が揃った壁面が出来上がります。後は、仕上げ材(トップコート)を塗れば完成です。ローラー(手塗り)での塗装仕上げは、このようなマスチックローラー工法の仕上げのみとなります。

要は、模様付けの工程が機械吹きやローラーか?の違いなだけです。ですが、模様自体はローラーで行う仕上げの方が小さい(付かない)ので、粗などが隠れにくいと言えます。

コテや専用道具で行う意匠系仕上げ

意匠系アート仕上げ

意匠系アート仕上げ

左のような大味な仕上げは、塗装屋でも行う人もいますが、基本的には左官屋が行う事が多い、アート的要素が含まれた意匠仕上げで、材料もスタッコ系塗材の物から、様々ございます。

基本的には、新築時から行われている仕上げで、再びこのような仕上げを行う事は、ほぼございません。こういった下地の塗り替えの場合、既存を生かして塗料を塗るだけというのが一般的と言えます。

塗り替えるだけの施工について

塗料を塗るだけの仕上げ

一般的な塗り替え(1色で塗り潰し)

一般的な塗り替え(1色で塗り潰し)

目地色を塗り分ける場合(ダブルトーン)

目地色を塗り分ける場合(ダブルトーン)

近年のサイディング外壁は、最初から、塗布面が整っているので、上で説明してきた塗装仕上げを行う必要性が無くなってきました。また、サイディングではない、モルタル・コンクリート・ALCなどの外壁の塗り替えであっても、従来は下地が悪ければ、作り変えるのが常識ですので、上のような塗装仕上げを塗り替え時でも行うのが当たり前なのですが、近年はそういう事を一切しない塗装屋も増えており、本当にペンキを塗るだけを塗り替えと考える塗装屋が増えています。

塗り替えるだけの施工は、3回塗りから可能ですので、お安く施工できますが、本来の塗装屋の仕事というのは、下地を判断した上で、塗装仕上げから行うべきか、下地を生かし塗り替えるだけでいいのか?を判断するのが塗装屋であると言えます。

多彩模様仕上げについて(主に、サイディングへ行う仕上げ)

多彩模様仕上げ(日本ペイント 水性ペリアートUV)
多彩模様仕上げ(関西ペイント ゾラコートEX)

ここで言う多彩模様仕上げとは、主にサイディング外壁や、素地の整った壁面、または内装の壁にも可能な塗装仕上げです。

ただペンキを塗るだけの仕上げでは、物足りなさを感じる方にお勧めです。塗布面が一色で塗り替わるのとは違い、何色もの模様が散ったような外壁に仕上げる事ができるのが、吹付バージョンの多彩模様仕上げとなります。

同じような仕上げを手塗りでもできる物もございますが、結局、吹付で無いと綺麗に仕上がりません。

  • 因みに、スキン塗装仕上げも、別名は多彩模様塗装と呼ぶ事もありますが、そちらは厚付け施工ですので、ここで言う多彩模様とは別物となります。

多彩模様仕上げ(ローラーバージョン)

多彩模様ローラー仕上げ(関西ペイント マーブルトーン)
多彩模様ローラー仕上げ(スズカファイン WBアート)

こちらは、サイディング壁限定で、しかも窯業系のデザインサイディングに使用可能な多彩模様仕上げです。詳しくは、WB多彩模様仕上のページをご覧下さい。要は、特殊ローラーを使用し、ランダムな風合いを作る塗装方法になります。

また、左のような壁面の場合、凹んだ部分と出っ張った面とで、塗分ける2色塗り分けの施工も可能です。

こういった仕上げは塗り回数が増えるので、塗るだけの施工よりは費用は上がってしまいます。

クリヤー塗装について

クリヤー仕上げについて

3分艶クリヤー仕上げ

サイディング外壁の既存模様を、塗料で塗り潰したくない方は、クリヤー塗装がお勧めです。クリヤーとは透明な保護膜ですので、そのままの質感をコーティングする事ができます。
艶有りだけでなく、3分艶のクリヤーもございますので、新築時と同じように自然な質感に仕上げる事も可能です。
但し、クリヤーは壁面が傷んだら、お勧めできませんので、築数年内に検討される事がお勧めです。

また、スキン塗装仕上げ後に塗布する、従来型のクリヤーもあれば、最近では塗るだけのペンキ仕上げ後に、塗布すれば耐久年数を10年分上乗せする事ができるクリヤーもあったりするようで、クリヤーにも様々ございます。

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